1ヶ月ちょい前のことですが。ErgoDox users meet upというマジキチ紳士の集いに参加してきました。
ErgoDoxそのものは前からちょっと気になってた程度ですが、尊敬する握力王が推奨しているとなれば、手に入れるほかありません。
HHKBの打鍵感は大好きですが、そろそろ新しいキーボードが欲しかったというのもアリ。
やっぱ入力装置は定期的に交換して、脳に刺激を入れてやらないとネ。
その点、カスタマイズ性の高いErgoDoxは最適だと思いました。
なお、ポート株式会社ではエンジニアの福利厚生の一環として「PC周辺機器購入制度」なるものが存在しており、どんなキーボードでも経費で購入できます。デザイナ、エンジニアは常に募集中です!(宣伝おわり)
ErgoDoxとは
左右分割式のキーボードです。正確にはプロジェクト名と言ったほうが良く、ErgoDoxという商品が売られている訳ではありません。 基板の設計からファームウェアまでオープンソースで公開されているので、外装やキー配置を自由に設定できるというもの。 その気になれば3DプリンタでKinesis状の立体ケースを製造し、 キースイッチにLEDやトラックポイントを仕込みつつ、 スチームパンクなキーキャップで装飾することができる。
タイピングが早くなるというよりは、肩こり解消用。 一般的なキーボードは肩が前にせり出した姿勢になるので、猫背になりやすく、いわゆるIT猫背から肩・首まわりのトラブルを抱えやすい ErgoDoxというか左右分割式のキーボードを使えば、胸が開き、より無理のない体勢でコーディングできるようになるとのこと。 ちなみにベストなのは、肘掛の先につけて打つ形らしい。
左右分割式キーボードは市販品でも幾つかあるけど、扇状に開くだけのものや、接続コードが短くてノートPCを跨げないものが多い。 μTRONは静電容量無接点方式で良さそうだけど、5万円になりまーす。 ErgoDoxの魅力はやはりカスタマイズ性ですね。
購入の流れ
ErgoDoxは普通に店には売っていません。 自分でプリント基板つくってダイオードとか組み込む猛者は気にする必要ありませんが、手に入れる方法は大まかに3つ。
- 完成品を買う(ErgoDox EZ)
- パーツを選んで、組み立ててもらう(Falbatech)
- パーツを選んで、自分で組み立てる(Falbatech, WASD keyboards, Pimp my keyboards)
ほとんどの人は完成品のErgoDox EZを買います。二週間くらいで届くよ! ちょっと外装にこだわりたい人は、Falbatechでパーツを選んで組み立てて貰います。 もちょっと拘ってオンリーワンっぽくしたい人は、キーキャップを別に買います。
俺の場合、当初はキーキャップでグラデーションぽくしてみたりして拘るつもりでしたが、 そのためにWASD覗いてみたらクリア軸を見つけてしまったので、 外装その他をFalbatechで買って組み立ててもらい、スイッチだけ自分で半田付けすることにしました。 ついでに、せっかくのクリア軸なのでキーキャップも透明にすることにしました。
海外通販になるので、PayPalアカウント持ってれば楽です。住所の入力とかねー。
キースイッチ
ErgoDoxは76keyもしくは80keyです。2xキーのマウントに1xキーもそれぞれつけれるようになっているようですね。 とはいえ通常は76個あればOKです。クリア軸は値引きの関係で80個と同じ価格であったので100個注文した ...が、レア軸と言われるだけあって70個しか在庫がなく、
...みたいなやりとりを行った。 「70個先に送って、残りは返金で対応できるけど、どうする?」とあったので、「それでいいよー」と返した感じ。 拙い英語だろうけども、「英語話者なんて半分は非ネイティブなんだし、伝わりさえすれば良い」と念じながら書きました。無事、意思が伝わったようで楽しい。 そのやりとりが7/27なんだけど、7/29には届きました。はやい。
なので、親指側の左右3キーずつは今も空で、半田付け待ちです。 注文したときはPCB Mountedだけでしたが、いま確認したらPlate Mountedがあったので、こちらを買ってみても良いかもしれない。
キーキャップ
キーキャップは基本的にCherry MX用のものを買えば、深く考えずに利用できます。ただ、DCSやDSAなど傾斜があるタイプを選ぶ場合は、段ごとに傾斜が異なるので注意が必要です。
基本的にErgoDox用のキーセットとかなくて、かといって個別で買うと高くつくので、一般的な104キーボード用のキーセットを買って、足りない部分を個別に買うことになります。以下、失敗談。
- keysetを買ったら、2xが特殊な形状しかなくて足りなかった
- 2xキーはRow1で良いかなーと思ったけど、親指が高いと打ちにくい
- 1xは余裕で足りると思ったらRow4が2つ足りなかった
組み立て
半田付け作業の参考に。以下は覚書。
- クリア軸はPCB Mountedだったのでスイッチプレート要らないと思ったけど、Falbatechのアクリル用スイッチプレートは普通に使えた。
- ただしb のキーだけ立て付けが悪く、斜めってしまったので、直上のgキーと干渉してしまった。bキーをヤスリ掛けして対応
- 外装は黒いCarbon模様のにしたら、紫のが届いた。でも基板が思いの外かっこよかったので、シール剥いでクリアにした。結果的に問題なし。
キー配列の変更
簡単なキー配列の変更なら、GUIで簡単に行えます。 複数レイヤーを貼って個別に設定できるので、メディアキー(音量調節とか)だけ別レイヤーに飛ばすとか、10キー化したりとか。
- キー配置を決めて、.hexファイルをダウンロード → Ergodox Configurator - Massdrop
- .hexファイルを基盤に焼く → Teensy Loader Application
ただGUIだと特殊キーの指定とか、長押しでの挙動とか、Ctrl+Alt+Delte同時押しとか、LED光らせたりとかできないので、ここまできたら自分でファームウェアをビルドしましょう。
まず、ファームウェアをコンパイルする環境を作ります。Mac で homebrew を使っている場合は、以下で完了です。
- brew tap osx-cross/avr
- brew install avr-libc
- brew install dfu-programmer
次に、jackhumbert/qmk_firmware レポジトリをfolkします。keymap.cで好きなキーマップを書けるので、編集したら/keyboards/ergodox/ディレクトリでmakeすれば、.hexファイルが書き出されます。
いまはこんな感じでやってます。 キー設定の詳細はGoing beyond the keycodes を参照のこと。 RGUI(KC_SPC)でMacのIME切替ができたのは高ポイント。同時押しはいろいろ応用ができそうです。
使用感
キー配列が一般的なQWERTYキーボードと違って直線的に並んでいるため、初めはかなり難儀しました。特に小指と薬指が担当するz,x,c辺りが超絶打ちにくい。ただそれは設置を回転させることで解決しました。あと、キーボード本体の傾斜は親指側を高くすると打ちにくいようです。少なくとも慣れるまでは、通常のキーボードと同じように上部が高くなるように設置すると良いかと思われます。
業務で使い始めて2週間ほど経ちますが、ようやく普通に打てるようになってきました。キー配列は独特な形状に馴染むまで、慣れ親しんだUS配列に寄せています。横方向のキーが足りないために幾つかの記号は難儀していますが、親指側の空キーが埋まれば解決するかと思ってます。今のところ一番の悩みは、+/=キーの配置です。
最大の関心であったクリア軸の打ち心地ですが、静音リングなしでも極めて静かで落ち着きます。事前に試した黒軸はギュムっとしてて気持ち悪かったですが、数値上は黒軸より重いはずのクリア軸は、むしろ軽く感じます。1点を超えるとスコンと落ちるタクタイル式の特性でしょうか。割とHHKBに近い気がしますね。小指が多少疲れるくらいです。親指をよく使うように寄せていけば問題はないものと考えます。
Note: ErgoDoxは形状が独特なので、軽いキーを選択するとミスタイプ頻出する印象でした。慣れるまでは重めのキーが良いかと思います。
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