伊豆稜線歩道トレラン

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西伊豆スカイラインに沿って気持ちの良いトレイルが続く

7月末、伊豆に行ってきました。戸田峠から南下して、仁科峠から樹林帯に入り、天城峠までの予定... が、いろいろ想定ミスが重なって最終バスに間に合わず、けっきょく湯ヶ島温泉口まで走ることに。距離にして36km、10時間弱の旅になりました。どうしてこうなった。

アプローチは電車、新幹線、高速バスなど。新幹線だと東京→修善寺。高速バスは新宿→修善寺。新幹線は高いけど、高速バスは適当な時間がない。電車だと、品川→熱海→三島。三島からは伊豆登山鉄道で修善寺へ(510円)。伊豆登山鉄道への乗換ではSuicaが使えず、いったん改札を出る必要がある。混み合うと面倒なので切符で移動してると良いですね。

駅到着が9時くらい。修善寺駅はたいへんキレイ。駅構内にセブンイレブン、トイレ、コインロッカーあり。どちらかというとローディー用に施設が充実してる感じがしました。ここから始点の戸田峠まで、バスで30分。

本日の起点、戸田峠

戸田峠には駐車場あり。西伊豆スカイライン沿いにはちょいちょい駐車スペースがあるので、ピストンするなら停めてもいいでしょう。とはいえバス路線からは外れるので、縦走して回収に戻るくらいなら修善寺に止めた方が良いでしょうね。首都圏から来てると何気に湯河原より遠いため、日帰りとなると移動はかなり面倒です。

ちょいと準備運動して、10時前には出発!

初っ端から綺麗な芝生道でテンション上がる!

短い木道の階段を登ると、綺麗な芝生で整備された登山道へ行き当たります。この稜線沿いではよく見られる光景。非常に走りやすいですが、斜度もあるのでなかなか走れないジレンマ。下りは楽しい。稜線からは戸田港、振り返って北側には富士山が見えます。天気が良ければ通しでずっと富士山を見られるので、逆走だと富士山を見ながら走れる。これがこのルート最大の強み。(残念ながら今回は雲が掛かって観られなかった)

小ピークの小達磨山を抜けると、しばらく公道に出る。

サクッと小達磨山に登頂し、下山すると、いったん公道に合流します。伊豆は高山はないので、目に見えるピークに登れば、そこが山頂だった、というのが良くある光景です。天城山縦走するならともかく、この辺りだと1000mないですからね。猫越岳まで行ってようやく1034mといったところです。小刻みでアップダウンするので獲得標高ではそれなりですが。

達磨山には無線おじさんが。アクセスが良いからかちょいちょい見かけました

達磨山を下りるときにトレラン3人組とすれ違いました。登山者と会ったのはこれが最後かな。車で移動すれば山頂まで15分とかざらにある立地からか、無線の人はけっこう見かけました。天城牧場付近がいちばん多かったかな。

古稀山のピークはビビィで寝っ転がりたい感じ

古稀山のピークは芝生で覆われて石もなく、ビビィで寝っ転がってビバーグするには気持ちよさそうでした。水場もトイレもないけど。古稀山を降りるとしばらくロードランが続く。時々トレイルに戻りますが船原峠までは概ねロードですね。

公道沿いの湧き水。
30℃超の気温だが、しばらく手を突っ込んでると痺れるほど冷たい。

公道沿いに豊富な湧き水が側溝に流れ出しているポイントがあり、ここが最後の水場です。ここから天城峠付近まで20km以上は、水を補給できる機会はない。いちお猫越岳山頂の池がありますが、非常事態でなければ(浄水器あっても)溜め池の水は飲みたくないです。流水が良い。

船原峠にはベンチあり。すぐ下の公道沿いにも小屋があるが、湿っぽかった。

船原峠では手前の樹林帯と、公道脇に屋根付きの休憩ポイントあり。いずれも陽当たりが悪いが、峠から階段を上がって稜線に出ると気持ちの良いベンチがある。ここからしばらくは樹林帯が続くので、ここで暫くゆっくりしても良いでしょう。

船原峠からしばらくは樹林帯が多め。
高水三山あたりに雰囲気似てましたね

この日は30℃超の猛暑でしたが、標高そのものは600mくらいはあるので、直射日光さえ防げればそこそこ涼しい。けっきょく走ったのは殆ど樹林帯でした。直射日光に曝されるとすぐヒートアップしてしまい、走るに走れない。(言い訳)

土肥峠の標識。ここがたぶん唯一のエスケープポイント

山と高原地図にはルート表記がなかったのですが土肥峠には標識があり、よく見ると林道が東の方へ持越温泉まで伸びています。手軽に走るなら、ここでエスケープするのが無難なルートになるでしょう。これくらいなら無補給で行けるでしょうしね。

ただ、この辺りのトレイルはトレースが消えかけてたり倒木が多かったりで、オフシーズンは注意したほうがいいかも。

土肥峠の分岐にはボックスカルバートあり。動物が車に跳ねられないようにとか
魂の山(こんのやま)を越えると、また芝生のトレイルがやってくる
子鹿が倒れていた・・・

途中、登山道のど真ん中に子鹿が倒れており、起き上がれない様子でした。近づくと激しくもがく。だいぶ弱ってましたが、これも自然の定めと放置。実際なにもできない。近くには親か兄弟か、何頭か鹿を見かけました。しかし伊豆の鹿は天敵も居ないし過ごしやすそうだなー。実際、伊豆のシカ害はかなり深刻なようです。

風早峠には屋根付きの休憩所あり。ビバーグには最適っぽい

風早峠は開けた場所であり、屋根のある小屋とベンチ、綺麗な芝生がある。補給とトイレの問題もありますが、ここで星を見ながら夜を明かすのはかなり気持ちよさそうです。秋冬の有力な選択肢ですね。

中間地点。仁科峠を見下ろす

風早峠から暫く走り、牧場沿いを走ったりしていると、ほどなく仁科峠に辿り着きます。ここが公道沿いの最終ポイント。

仁科峠のピークにはベンチと岩がある。

ピークの展望台を抜けると、ここからは一転して樹林帯に入ります。

仁科峠からは後半戦の樹林帯

猫越岳には小さな展望台があり、ベンチもあります。露岩に腰掛けて休憩してると、山に入った感があって落ち着く... 宇久須港だか松崎港だかがよく見えます。すぐ近くに池もあるのですけど、浄水器あっても溜め水は躊躇しますね。水は500mlほどになっていましたが、大丈夫だろうとスルー。

この時点で15:30... 迫るタイムリミット。走りやすい樹林帯ということもあり、巻きで行きます。

特徴的なブナ。でかい!

この辺の樹林帯はほどよく開けてる部分もあり、ビバーグ適地もそこそこありそうでした。

17:30ごろ。二本杉峠の手前にきて、ようやく流水発見!

二本杉峠まで来ると、流水が増えてきます。既に水が尽きているので、SAWYERからストローで直接ごくごく... やめられないとめられない。今回初めて使いましたが良いですねコレ。軽くて簡単でメンテも楽だし。なにより手軽に水分補給できる安心感は何物にも代えがたい。給水直後にはだいぶ気力が戻っており、人体に水分がいかに重要か実感できた次第。

ちなみに、既に天城峠の最終バスは諦めています。コースタイム50分の下りを30分で降りればもしかして、と一縷の望みを掛け、天城ゆうゆうの森入り口を目指して下山することにした。

二本杉峠を過ぎると、水場が増える。

下山道では小さな流水から、みるみる巨大な沢へと成長していき、これまでの水不足はなんだったんだと諦念の視線を向けたりも。

林道が見えると、ゴールはすぐそこである。

やがて見える林道のすぐ下がキャンプ地になっており、もはや豪流である沢をまたぐとバス停に。10分違いで終わっていた...orz

その後、下田街道をロードランして道の駅天城越えへ。水道で顔洗って自販機で炭酸買って、ひと心地つく。この場でビバーグも視野に入れるも、温泉からならバスあるかもと思いついて調べてみると、1時間後に湯ヶ島温泉口から最終バスがあり、1km/5分ほどで走れば間に合いそうである。というわけで公道を延々と下り、なんとかバスに間に合い、電車で帰宅した頃には日付が変わっていた。

補給物資など

今回もっていった食料。ぜんぜん足りなかった・・・。

今回はトレラン用の栄養補給の実験も兼ねて、いろいろ持って行った。

ザバスのプロテインドリンク
運動後に飲みやすい柑橘系。俺にとっては安心できる味。でもこれがダメな人もいるんだよなー... むしろ水分補給ですげー役に立った。
塩熱サプリ
100mlに1個目安で摂取。効果はいまいち実感できず。1日6個までを見逃して食いすぎた気がしないでもない。
カンロのトレイルバー
食べやすい。
ハニースティンガーのワッフル
ワッフルというか湿った煎餅みたいだったけど、まあ美味しかった。食べた感ある。
ハニースティンガーのジェル
蜂蜜、チョコレート、あと柑橘っぽいの。どろっとして飲み込みにくい。蜂蜜は蜂蜜だったのでこれが一番かも。
ハニースティンガーのグミ
食べやすくて良い。基本はジェルのあとの腹持ち用だけど、これ単体でも良いと思った。
ZEN NUTRITIONのダルマとトラ
雑誌でよく見るアミノ酸サプリ。小粒で摂りやすいのは良いね。

問題点と反省

今回の山行ではいろいろ問題に行き当たり、幾つもの反省点があった。

まず大きな問題は、気温。雲が多めだが概ね晴れで、日中は常に30℃近くある。いちお標高800m以上はあるので風は涼しく、樹林帯に入るとマシなんですが、とにかく直射日光が厳しく、ちょっと走るだけであっという間にヒートアップしてしまう。もともと伊豆は温暖な気候で、秋冬がベストシーズンと聞いていましたが、夏が不適とされる理由を痛感した感じです暑い!

2つめの問題が、補給ポイント。後半、樹林帯に入るまでは概ね公道(西伊豆スカイライン)のすぐ近くをトレイルが走っているので、幾つかある峠に自販機くらい置いてるかなーと期待していたんですが、まったく無し。浄水器は持っているものの水場もないから使えない。湧き水が最初と最後にあるだけでした。早々に気がついて節約するも、3ℓあった水が樹林帯に入る段階で500mlを切る結果に。

3つめが行動時間の見誤り。今回は低山だし、走れるコースと聞いていたのでキツめのコースタイムで予定を組んだのですが、体温上昇&水節約のために殆ど走れなかった。スピードハイクくらいで消化はできたのですが、だいぶ予定がずれてしまった。悪いことにこのコース、公道沿いですがバス路線からは外れているので、エスケープルートがないのです。特に樹林帯に入ると、もう抜けるしかない感じ。

結局、天城峠の最終バス17:49には間に合わず、湯ヶ島温泉口まで7-8kmほど走って19:58のバスに乗ったのでした。修善寺からの電車移動も3時間くらいあったので、家に着いたのは日付変わってからでしたね。大移動でした。交通費も高めですし、伊豆は泊まりのつもりでゆっくりいったほうが良いなー、という感想です。

今回の伊豆ランはいろいろと考えさせられることも多く、実りある工程となりました。いやはや、反省、反省!

後日談

このトレイルで給水量の重要性を認識し、自分の給水量を把握するために、5kgの水を背負ってロードで試走しました(2時間走って体重の差を測定する。2%以上減ってたら給水不足)。その結果... 膝を壊しました。思った以上にロードで高負荷は厳しかったらしい。

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