若者はなぜ3年で辞めるのか?

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書籍のイメージ

...という本を読んだ。本書は問題の全てに答えを出したわけではないけれど、年功序列とその崩壊、成果主義とその不完全な導入がもたらした弊害について、良く説明されています。ただこの本では、いわゆる「普通の」企業に焦点を当てていて、Web/IT系なんかのケースにはそぐわない気がする。

ま~「職に関する社会の仕組み」を理解する分には、とても判りやすい本でしたよ。今から就職する人、転職を考えている人には是非お勧めしたい一冊ですな。以下、まとめというかメモみたいな感想。

年功序列

給与は年齢を基準に支払われる。決められた年齢で決められたポストに昇格し、初めは薄給だが、我慢して勤め上げれば、誰でも50代ほどで20代の3倍程度の報酬が約束される制度。

これは企業の継続的な成長があって、初めて成り立つ。ある年齢を境に同期の同僚がいっせいに課長なり部長なりになるってことは、それぞれにそれなりの数の部下がいる筈ってこと。そうでなければ下っ端の新人よりも高給取りの管理職のほうが多い、て矛盾した事態になる。これはもうそうなっていて、「部下のいない課長」なんて肩書きは珍しくもないらしい。

...で、高給取りの比重が増えると人件費も嵩む。その結果が新卒を採らない就職氷河期だったり、大半の若者の給料を抑えられる「成果主義」の導入だったりする、と。んむ、実に理に適った説明でした。

年功序列の問題

年功序列の下では既卒の就職が困難を極め、転職での年齢制限が厳しい。これは給与体系が年齢を基に構築されているため、単純に中途採用者の扱いが難しいから。同じ理由で、単純作業しか経験していないフリーターや契約社員の受け入れに関しては渋い。

したがって新卒で職を得られなかった就職氷河期の人たちは、職に就けないまま30代を迎えようとし、そのためにますます職から遠ざかる悪循環に陥っている。

また採用を絞る企業は仕事に対して「高い意識を持つ」優秀な人材を求めるのだが、そうして採用した人材に雑用しか与えられなかったりする。これは、既に年齢によって成った管理職が飽和に達しているから。同じ理由で、根っこは年功序列な企業が成果主義を標榜していても上限はすぐ近いところにある。

40~50代の賃金と年金を維持するために、既に30代で昇給も昇格もぷっつり止まる。ここ10年で新卒が数人という企業も珍しくなく、労働力を契約社員でまかなう多くの企業で「企業の老化」が進んでいる。そして、そういう企業では団塊世代の一斉退職を控えて「技術の継承」が深刻な問題になっている。

感想

こうした社会の矛盾、将来の暗雲を訥々と説明した後で、締めとして「とんでもない! これほど希望に満ちた明るい書はないだろう」と続く。いや、それこそないだろう ^^;

ま~結論の強引さは置いといて、「新卒」が「3年で」辞める理由としては十分説明してくれたかと。ただこれって、旧来の企業における一般職での話だよな~、とかとか。どっちかというと新人が速攻で辞めるのは成果型のほうが多いように思うし、3年どころか1年もたないケースは別の話だとも思う。

社長が20代といった会社では年功序列の負の遺産も無いわけだけど、反面でイメージ優先で夢見すぎな人材が多く訪れる。転職業界が発達してるので勤続年数も小刻みだし、教育がそもそも無駄になってしまう現状を鑑みれば、即戦力しか採れない状況にもなる。そういった場合、企業としてはどうすれば良いのだろう? 今いちばん知りたいのは、その辺。

追記

もうどうでも良いから、とっとと引退してください。
子供いらないから。死ぬ気で働くから。

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